「Pが非Qと同値であれば、Qは非Pを含意するが……」
元祖・アンチヒーロー、ハロルド・シェイシリーズ第二巻。 天野さんが表紙を手がけられた本は多々ありますが、個人的に、 この表紙がベストだと思う次第です。今度の冒険の舞台は、スペンサーの「妖精の女王」です。 (が、例によって、知らなくても楽しめます)。 前作の失敗を充分に活かし?今度は準備も予習もきっちりしっかり 整えてでかけることにしたハロルド・シェイとチャーマーズ教授。 シェイは剣士、教授は魔法使い。そんなふれこみで、 黒魔術師を倒しに行くのです。 (物語変わってしまうやん、というつっこみはなしの方向で) ところが……上手くゆかないのが予定だとはよく言ったもの。 教授は貴婦人・フロリメルの美しさにぞっこん惚れ込んでしまうし、 ハロルドも森の中の女戦士、弓使いの美女ベルフィービーに一目惚れ。 さてさて、今度もどうなる?どうなる? ……という物語。 「Pが非Qと同値であれば、Qは非Pを含意するが……」と言うのは、 異世界間を移動する原理を構築する「論理方程式」の冒頭部分なのですが、 当時小学生だった私は一生懸命これを暗記しようとしたものでした。 いや、そしたら自分も物語の世界に入っていけるか、と思っていたのですよ。 それだけの魅力のあった一冊でした。
早川書房
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