台湾の主張



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親日家であり独立穏健派

 前台湾総統(1988?2000)である李登輝氏(1923?)による総統就任時(1999年)における著作。時期的に考えると、10年以上に渡る台湾総統としての活動の総決算であり、次期総統へのメッセージも込められていることだろう。

 本書の構成は非常にわかりやすく、自身の思想遍歴、政治哲学を通じて台湾の「繁栄と平和」の原動力について語り、最も影響力のある中国・アメリカ・日本との関係から台湾を論じ、21世紀の台湾への展望を語っている。

 蒋介石とその息子:蒋経国が築いた発展の基礎の上に行われた李登輝政治は、孫文の「三民主義」を引き継ぐ。そして恐らく最大の功績は、「民主化」だろう。司法改革を中心に、憲法改正や教育改革を通じて、民主化の道を切り開いたという実績は非常に重要である。

 自身が大学時代に京都大学に在籍していたこともあり、かなりの親日家で(中国からの)独立派。総統退任後も中国の反発を受けつつも幾度となく来日している。

台日パートナーシップ開発へのメッセージ

この本を著した一九九九年、李登輝氏は七十六歳の現役総統で残り任期一年(二〇〇〇年の次期総統選不出馬表明)。読後の第一印象は、日本語書籍を通じた総統の、中身の濃い台日パートナーシップ開発へのメッセージ、です。日本国籍(二十二歳まで)に生まれその教養に育ち、京大農学部に学び、日本の学問・技術に「米国にない深み」を感じる李総統(実際、米・アイオワ州立大で修士、コーネル大で博士取得)は、今日まで古今数多の日本の書籍を紐解く一方、台湾の?産業化は日本による「工場や道路などのインフラ、経営法や技術などの経営資源」だけで開始したと認識、専門の農業を台湾政策に生かすのに日本で二ヶ月を費やし戦後日本の「農業基本法」を調査するなど、公私両面日本と奥深く繋がっています。「大陸」政府の“常に牙を剥き出す”覇権主義に耐え、“台湾の朝野が心血を注いで”政治システムを“脱内戦化”、民主化を象徴する一九九六年の国民投票の総統選で再選する描写に一つの遠大な夢を果たした人物像があります。“経済奇跡”の実績を土台に、真相に透徹したその信念から台湾の進路は“そう難しくはない”との確信を覗かす一方、「大陸」はその体質と未曾有な規模から不確定・不安定さを内包し続けると予測。台米日の協力緊密に「大陸」を世界の舞台に引出すのに「急がず忍耐強く」と説きます。軽薄なスローガンより歴史の底流と時の熟成を見極める意義を訴え、またアジアの平和は、台湾人は元より各国民のアイデンティティー確立からとする言明を、一日本人の私も心して受止めました。艱難辛苦の境遇で培った真理への謙虚さに、「愛」の価値を共有するキリスト教を包含して思想を明確化、普段に学び、その上で素朴な善志向から「台湾を愛し、台湾人のために粉骨砕身、大いに奮闘する者」を総統の条件に課す「台湾の主張」には底知れぬ力強さが。総統の五月三十日の来日は台日関係を大きく前進させるでしょう。
台湾人の考え方が良くわかる

1923年、台湾の農家(小地主)の子として生まれた李登輝は
旧制中学までに岩波文庫700冊を読み、京都帝国大学農学部農業経済学科に入学し、マルクスに影響されるも、終戦後、台北大学を出て、コーネル大学で農学博士号を取り、台湾における農政の第一人者として台北大学で教鞭をとっていた。そのころ、台湾は国民党が南京から逃げてきて、2.28事件という政府発表で2万8000人、一般に5万人はくだらないと考えられている国民党による台湾人大虐殺のため、沈黙を余儀なくされていたが、蒋介石の息子、蒋経国の下で1971年大嫌いだった国民党に「台湾の農業を守るのはあなたしかいない」と口説かれ、入党。翌年行政院(内閣)政務委員となり、78年台北市長を務め、81年台湾省主席に、84年蒋経国のもとで副総統に就任、88年蒋経国死去に伴い総統に着任。
ここから40年間続いた戒厳令を解除し、一党独裁政治を止め政治と言論の自由化を着手し、民進党の結党を認め、「中華民国」の終身議員にひとりひとり頭を下げて辞任してもらい、台湾による自由と民主主義の回復に注力。
1996年初の直接選挙による総統選挙を実施、信認され、総統にとどまりながら、台湾人のための台湾作りに献身。2000年の総統選挙では連選国民党候補を立場上形式的に応援するふりをして、台湾独立を目標とする陳水扁民進党新総統の当選を心より喜び、中華圏で初めて直接選挙による政権交代を実現させ、それまで中国本土のことしか教えてこなかった歴史教科書を『認識台湾』(『台湾を知る』雄山閣で日本語訳あり)を中学教科書に採用し、台湾人のアイディンティティを高めました。司馬遼太郎と1990年代半ばに対談。その様子は司馬遼太郎『台湾紀行』に収められているように、台湾に生まれた「悲哀」を表明、奥の細道を旅してみたいと表明している。現代アジアを語る上では必須文献。
カリスマ政治家による、対日本プレゼンテーション。

学者出身の政治家で、「古き良き日本精神の体現者」としてカリスマ的な人気を誇る李登輝。
「いかにして民を疲弊させずに、国を豊かにするか」に心を砕いた政治家が人生哲学を語る。
タイトルは「台湾の主張」だが、内容は「李登輝の主張」。
オレが台湾だ!ってことかな。

日本語で書かれている=日本人向けにフィルタリングされている、ということで。
この本も一種の「日本洗脳作戦」の一端と私は思う。
台湾語、中国語、英語で書かれた同著者の本も読み比べて見たら、李登輝の政治哲学が見えてきそう。

それにしても、民需拡大、環境保護、教育奨励をしながら、財政に負担をかけない手腕は見事。
台湾について

学生の頃、台湾についてなんて教えられた記憶はない。
多くの日本人にとってアジアとは韓国、中国が主なんじゃなかと思う。
こういう内容を「右翼」だと片付けるのには、たった二文字しかいらない。
でも、この本はとても多くの事を語っていると思う。
完璧じゃないかもしれないし、全部正しくないかもしれない。
でも、だからなんなんだろう?
ここから考える事の始まりが右翼だ!だとしても、この世代の人達の話を聞いたり、肯定でも否定でも知識を学んだり、先代の人達の言葉を残していく努力をしなければいけないのは私たちのほうだと思うし。
こうして語ろうとしてくれる人は貴重なんじゃないでしょうか。



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台湾がめざす未来―中華民国総統から世界へのメッセージ
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李登輝実録―台湾民主化への蒋経国との対話
台湾之子
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