台湾総統列伝―米中関係の裏面史 (中公新書ラクレ)



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台湾総統列伝―米中関係の裏面史 (中公新書ラクレ)
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李登輝氏の政治家としての政治手腕がよく理解できました

台湾の歴代総統について詳しく記された本です。
台湾政治状況に関して記された類書を沢山読みましたが、本書が一番詳しく記載がしてあり、とても参考になりました。日本でも有名な李登輝氏がいかに台湾政界に躍り出たかの経緯が知りたかったのです。また植民地として戦前50年間日本の統治下におかれていたわけですが、韓国の国民とは違い、親日感情のある台湾の人々の心情形成過程も知りたいと思ったからです。

蒋介石、蒋経国という世襲の総統の後ですから、相当な人物でないと勤まりません。また中国との関係にも注意を払わないとこの台湾の状況は理解できません。世界の首脳といかにコンタクトを取りながら自国の立場の強化に務められたかがよく理解できました。その舵取りは卓越した政治手法を感じさせます。

本書にも書かれていましたが、李登輝氏は『台湾の主張』などの日本語で執筆した著書を通して、日本の有識者に訴えてきました。その中で、日本による戦前の統治時代を肯定する発言は、日本にとって心地よいものであっただけに日本の政治家に対するアピールも万全でした。90年代の台湾の民主化には李登輝総統がいなければ成しえなかったような改革が数多く見受けられます。その成立過程も本書で理解が出来ました。

陳水扁総統が就任して7年を超えました。国民党李登輝氏から民進党の陳水扁氏へとその支える構造も変わりました。今後、台湾独立へのソフトランディングをどのように構築していくかの手腕を確認していきたいと思っています。良書です。
知られざる台湾現代史

 意外に近くてよく知らない隣国台湾の現代史を、総統の列伝の形で示してくれた一冊。
 明快で鋭い視点から、ややわかりにくい日本と中国との関係や、外交上の理屈や建前を説明してくれる。ジャーナリストとしての経験が生きているといえよう。
 蒋介石の大陸脱出後、かろうじて台湾にたてこもった国民党は、したたかな外交で大陸中国や日本、アメリカとのはざまで生き残りをかける。その駆け引きはスリリングだ。
 現代日本人にとっても、正しい中国、台湾理解への視座を提供してくれることは間違いない。
 
恐ろしい本

恐ろしい本だ。読みながら身震いした。数多ある台湾本のなかでダントツにシャープで、最も客観的に台湾の現状を描いた本。冷静な事実描写に貫かれた歴代総統列伝もさることながら、台湾の省籍問題や日本での台湾観の歪みを分析した第5章は圧巻。この種の問題提起は日本の一般書ではおそらくこの本が初めて。司馬遼太郎の描く李登輝像や小林よしのりの『台湾論』を真に受けた台湾ファンにとっては、ショッキングな指摘が続くが、妙な思い込みを持たない普通の読者にとっては納得の内容。日本社会の「『親日台湾』への共鳴は、台湾問題への同情や関心である以上に、90年以降、傷つき打ちのめされた日本人の自尊心を回復する手段であった」などの指摘は秀逸。
トンデモ本の類

 昨今、日本のメディアの偏向ぶりが問題視されているが、台湾のメディアの偏向ぶりは日本の比ではない。”台湾は中国に統一されるべし”と主張する統一派がメディア(新聞・テレビ・ラジオ)の9割を占める台湾では、マスコミが行った世論調査など当てには出来ない。

 それにも関わらず、筆者はその結果を鵜呑みにして、多くの台湾人から「独裁者」と忌み嫌われている蒋経國が一番人気だとか、統一派の妨害工作ででっち上げられた李登輝前総統の汚職事件をさも真実のように記している。

 これらの憶測記事によって、台湾をよく知らない読者がミスリードされる危険性が非常に大きい。筆者のプロフィールは統一系の「元中国自由之声アナウンサー」。筆者の思想信条に興味はないし、個人のイデオロギーは自由だが、読者に誤った情報を与えるのだけは勘弁して欲しい。
当たり前だが司馬史観だけではとらえられない台湾

陳水扁が台北市長選挙に落ちた直後に総統選挙で勝利したとか、司馬遼太郎の『台湾紀行』ですっかり日本人のファンを増やした李登輝が汚職問題などで意外と台湾では厳しい目でみられているとか、歴代総統で人気ナンバーワンなのは蒋経国だとか、知らないことばかりだった。

 蒋経国はもちろん蒋介石の長男だが、ソ連留学中に知り合ったロシア人を妻にもつ、元トロッキーシンパだとは知らなかった。あと、李登輝も中共の台湾細胞に二度なっているとかも。まあ、ロシアとは地続きだし、国共合作もあったし、いろいろあったんだろうな、と思う。

 あと、筆者はおそらく馬英九台北市長のシンパなんだと思う。外からボーッとみていると、なんで陳水扁が今回の選挙で苦戦したか、という背景がなんとなくわかる。李登輝を讃える司馬史観だけだと見間違うな、と感じた。



中央公論新社
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